夫婦で話し合って、条件がまとまれば協議離婚が可能です。まとまらない場合には、家庭裁判所で調停を行います。調停でもまとまらない場合には、離婚訴訟を提起する必要があります。
未成年の子供がいる場合、離婚の際には親権者を決める必要があります。親権も、調停で話し合いがまとまらなければ、判決で決めてもらうことになります。
養育費も話し合いで決めます。調停でも話し合いがまとまらなければ、審判で決められることになります。
養育費の額については、家庭裁判所では、請求する人と請求される人の収入に応じて作成された算定表が用いられており、審判でもほぼ算定表に従った金額にされています。
夫婦で築いた財産は、基本的に2分の1ずつに分けることになります。婚姻前から持っていた財産や、親から援助してもらった財産は分与の対象となりません。
不貞行為(浮気)があった場合等には、慰謝料の請求も可能です。浮気相手が、あなたの配偶者が結婚していることを知っていながら不貞行為に及んだ場合には、浮気相手に対して請求することもできます。
離婚の際、婚姻期間等の保険料納付記録を按分割合に応じて夫婦間で分割することができます。
親権者となれなかった親も、子供に面接することは可能です。話し合いで月に1~2回面接できる内容でまとまることが多いです。
最高裁は、面会交流について間接強制を認める決定を出しました。内容は下記のとおりです。
「監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判において、面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる場合は、上記審判に基づき監護親に対し間接強制決定をすることができると解するのが相当である。
そして、子の面会交流に係る審判は、子の心情等を踏まえた上でされているといえる。したがって、監護親に対し非監護親が子と面会交流をすることを許さなければならないと命ずる審判がされた場合、子が非監護親との面会交流を拒絶する意思を示していることは、これをもって、上記審判時とは異なる状況が生じたといえるときは上記審判に係る面会交流を禁止し、又は面会交流についての新たな条項を定めるための調停や審判を申し立てる理由となり得ることなどは格別、上記審判に基づく間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではない。」
最高裁は、民法772条により嫡出の推定を受ける子につき、父とはDNA鑑定の結果99.9%血縁関係がない場合においても、親子関係不存在確認の訴えで争うことはできないと判断しました。
「民法772条により嫡出の推定を受ける子につきその嫡出であることを否認するためには、夫からの嫡出否認の訴えによるべきものとし、かつ、同訴えにつき1年の出訴期間を定めたことは、身分関係の法的安定を保持する上から合理性を有するものということができる。そして、夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり、かつ、夫と妻が既に離婚して別居し、子が親権者である妻の下で監護されているという事情があっても、子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然になくなるものではないから、上記の事情が存在するからといって、同条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず、親子関係不存在の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできないものと解するのが相当である。このように解すると、法律上の父子関係が生物学上の父子関係と一致しない場合が生ずることになるが、同条及び774条から778条までの規定はこのような不一致が生ずることも容認しているものと解される。」
最高裁は、夫婦の一方は、他方と不貞行為に及んだ第三者に対して、特段の事情がない限り、離婚に伴う慰謝料を請求できないという判決を出しました。
「夫婦が離婚するに至るまでの経緯は当該夫婦の諸事情に応じて一様ではないが、協議上の離婚と裁判上の離婚のいずれであっても、離婚による婚姻の解消は、本来、当該夫婦の間で決められるべき事柄である。
したがって、夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は、これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても、当該夫婦の他方に対し、不貞行為を理由とする不法行為を負うべき場合があることはともかくとして、直ちに、当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは、当該第三者が、単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。
以上によれば、夫婦の一方は、他方と不貞行為に及んだ第三者に対して、上記特段の事情がない限り、離婚に伴う慰謝料を請求することはできないものと解するのが相当である。」
最高裁は、婚姻費用分担審判の申立後に当事者が離婚したとしても、これにより婚姻費用分担請求権は消滅しないという決定を出しました。
「民法760条に基づく婚姻費用分担請求権は、夫婦の協議のほか、家事事件手続法別表第2の2の項所定の婚姻費用の分担に関する処分についての家庭裁判所の審判により、その具体的な分担額が形成決定されるものである。また、同条は、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と規定しており、婚姻費用の分担は、当事者が婚姻関係にあることを前提とするものであるから、婚姻費用分担審判の申立て後に離婚により婚姻関係が終了した場合には、離婚時以後の分の費用につきその分担を同条により求める余地がないことは明らかである。しかし、上記の場合に、婚姻関係にある当事者が有していた離婚時までの分の婚姻費用についての実体法上の権利が当然に消滅するものと解すべき理由は何ら存在せず、家庭裁判所は、過去に遡って婚姻費用の分担額を形成決定することができるのであるから、夫婦の資産、収入その他一切の事情を考慮して、離婚時までの過去の婚姻費用のみの具体的な分担額を形成決定することもできると解するのが相当である。このことは、当事者が婚姻費用の清算のための給付を含めて財産分与の請求をすることができる場合であっても、異なるものではない。
したがって、婚姻費用分担審判の申立て後に当事者が離婚したとしても、これにより婚姻費用分担請求権が消滅するものとはいえない。」