平成23年4月27日に大阪高裁は、1審で更新料を有効とした事件について、逆転無効判決を出しました。
「原判決は、本件更新料条項による更新料は、賃借人において期間途中の解約をした場合において、賃貸人が空室となった物件から賃料を収受することができなくなる経済的損失(リスク)を軽減するため、違約金として定められたものであって、もし途中解約がなく賃貸借期間が満了した場合には賃料となるのであり、複数の物件を賃貸する場合などにおいては、更新料の支払約定のある賃貸借の場合、その約定のない賃貸借に比して、更新料を含む賃料が軽減されるのが実体であると説示する。
しかしながら、本件賃貸借契約においては、本件更新料条項のほかに、賃借人が期間途中に同契約を即時に解除するときには、1か月分の賃料等を支払うべきことが定められているのであるから、更新料をもって上記リスクの回避のための違約金と目するのは相当ではなく、期間途中の解約がなかったときに賃料に充当されるとすることも、少なくとも控訴人においてそのような認識が可能であったとはいい難い。また、仮に、統計的に更新料が賃料を軽減化していること、すなわち現実には更新料が賃料の一部の機能を果たしていることがあったとしても、本件賃貸借契約で更新料の支払約束があることにより、賃貸借の対価の点で賃借人に有利となっていることを認めるに足りる証拠はない。したがって、本件更新料条項が原判決が説示したような機能をもつとは認められないというべきである。」とした上で、
「消費者契約である本件賃貸借契約においては、賃貸期間が1年、賃料が月額4万8000円であるのに対し、更新料は10万円(約2か月分)というものであり、本件更新料条項は、控訴人に賃料に比較して大きな負担を生じさせるのに、金銭的対価に見合う根拠は見いだせない。そうすると、本件更新料条項は、「民法、商法、その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の義務を加重する」ものというべきである。
また、本件賃貸借契約においては、更新料がその法的根拠を欠くことについて被控訴人が口頭又は書面により説明をしたとは認められず、当然のことながら賃貸借の終了の時点において本件更新料の返還が予定されているものではなく、その支払により賃借人たる控訴人の負担(賃料、敷金や敷引の割合など)が軽減されるという補償関係にもないから、本件更新料条項は、「民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」というほかない。」
と、本件更新料条項を消費者契約法10条により無効と判断しました。
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